不動産業者が取引に介在する意義

不動産を売る時、買う時に、不動産業者が取引に介在することが、不動産市場では一般的です。不動産業者がいなければ、仲介手数料を払う必要がないのにと思われる方も多いと思いますが、不動産業者が取引に介在する意義は次の点にあります。

まず、土地は様々な法律でその利用につき制約を受けています。不動産を買おうとする方には、通常、取引の目的というものがあるのですが、不動産業者は、購入者が購入目的のとおりに土地が使えることを、重要事項説明書という書類で、取引の目的となる不動産(土地)の法律による制約内容の説明をし、安心して取引に臨んでいただけるよう努めています。

次に、不動産は税金の塊と言われます。税を課す側にとって、不動産は非常に便利な資産で、売ったとき、買ったとき、持っているときの全ての局面で税が課されます。不動産の税金は、申告しないと返してくれないものが多く、還付を受けられることを知らずに放置しておくと、払わなくて済む税金を見過ごしてしまうことになります。不動産業者は税の還付があるか、申告はどうするか等の税制のメリットをお伝えすることで、売主や買主の節税に寄与しています。

最後に、取引の安心です。不動産業者が売買に介在する場合、重要事項の説明、売買契約書の作成、ローンの代行、売買代金決済、登記という不動産取引の一連の流れを全うし、取引後に憂いを残すことがありません。取引が終わった後に問題が生じることは、売主と買主にとって好ましくありません。

不動産業者が介在しない場合、これらの知識を取引当事者が持つ必要があります。
買主が取引の目的を果たせない土地を購入したとしても、原則としてその取引は有効です。なぜなら、法律を知らないことは原則として保護されないからです。もし、買主が宅地建物取引業に必須の「宅地建物取引士」という資格を勉強したとして、法律等の知識はつくでしょうが、実際に調査して、対象となる土地の利用の制約の内容を調べつくすことはほぼ不可能です。
不動産業者の仲介手数料は、取引価格(400万以上の場合)の3%と6万円、それに消費税がつきます。3000万の不動産であれば、100万円を超える仲介手数料になります。しかし、ご自身で不動産を勉強する労力と、取引の安全を勘案すれば、決して高い仲介手数料ではないと思っていただけるのではと思います。

個人売買

不動産業者が入らない、売主と買主との取引を個人売買といいます。
ここでは、個人売買をするときの留意点をお話しいたします。

まず、取引価格の設定です。
売主は自己の財産をいくらで処分しようと自由です。従って、無償で譲渡することも当然可能です。取引で利益(売値-取得費>0円)があれば譲渡所得税という国税が課されます。譲渡益があれば、さらに売却した年度の市県民税も上がります。(なお、居住用資産につきましては、税法の優遇措置がありますが、紙面の関係で本稿では割愛いたします)
買主には不動産取得税という都道府県税が課されます。この税は固定資産税評価額が元となりますので、取引価格で税額が変わることはありません。取引価格が相当に低い場合には、贈与税が課される場合があります(低廉譲渡)。
低廉譲渡は、適正な価格の50%以下で不動産を売買により取得した場合、買主はその意思にかかわらず、税務署から贈与があったものとみなされます。
適正な価格とは、土地については相続税路線価によって求められる土地価格、建物は固定資産税評価額が、その価格となります。例えば、相続税路線価で計算した土地価格が1000万円、建物が固定資産税評価額600万円だとすると、適正な価格(土地と建物の合計額)は1600万円となります。この50%、すなわち800万円以下で取引すると低廉譲渡となります。
消費税については、土地については非課税で、建物は個人の居住用資産については特例で非課税とされています。
売買代金は当事者が自由に決めてよいこと、低廉譲渡に該当しないように注意することを踏まえ、当事者で売買金額を設定していただければと思います。

次に、売買契約書ですが、売買契約書は契約が有効に成立する要件ではありませんので、売買契約書の作成は任意です。手付の授受等を伴わない現金一括での取引であれば、必要ないとお考えいただいて結構ですが、作成されるのであれば、売買金額に応じた収入印紙の貼付が必要になります。
買主は後日、取得金額を証明する必要がありますので、領収証の授受は行うようにしてください。個人の自宅や土地を取引する場合には、領収証には収入印紙の貼付の必要はありませんが、事業用資産等の場合には必要な場合がありますので、居住用でない不動産を取引する際にはご注意ください。印紙税は国税となります。領収証は市販の安いもので十分です。領収金額を記載するとともに、授受の目的を「○市○町○丁目○番○の土地建物売買代金として」と記載し、売主の住所と名前を自著し、印鑑を押印します。

そして、固定資産税。固定資産税は4月1日から3月31までを年度として、その前年度の1月1日の登記名義人に1年分が課税される市区町村税です。従いまして、売買日以降の固定資産税は買主が支払うべきものですが、役所は買主が負担すべき固定資産税を売主に請求するため、不動産売買ではこの買主負担分を日割りで計算し、売買の時に売主に預けるということを行います。

最後に登記です。登記は司法書士という資格者が有料で行います。買主が自ら登記申請をすることはできますが、司法書士にお願いして処理してもらう方が楽で確実です。費用としましては登録免許税と司法書士報酬がかかります。登録免許税は固定資産税評価額が元になり、土地や建物の種類により税率が異なります。

個人売買はリスクが高いため、あまりお勧めはできません。しかし、取引当事者がお身内等、後日何かあった時に、誠実に対応する間柄であれば、問題ないと思われますので、この記事を参考にしていただけると幸いです。